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つかいすてカメラ

フィクションの中の ノンフィクション。

2025'07.19.Sat
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2007'02.10.Sat
コントを見て 泣いたことがある。

ATOM


笑いで心の扉を開いたら
あとは感動に持っていける。
この人たちにとっては日常であるという
あたしたちにとっては非日常。

非日常の中の日常。


ラーメンズ、第12回公演「ATOM」。
4年前の、話。

「アトム」というコントと
最後に
「アトムより」というコントがある。


「アトム」は、未来に憧れ冷凍保存されたお父さんと
起きるのをまっていた子供(アトムという名の子)の話。
ともに年は、30歳。平成15年。
父さんの期待していたような未来
(宇宙ステーションだの、京都タワーみたいなビルだらけだの、
 家庭用の立体映像だの、鉄腕アトムが空を飛んでるだの)
は、そこにはなくて落胆する。
もう一度眠りにつこうとする父親に
子供は「母さんの『父さんは眠っているけどお前を愛している』って
その言葉があったから今までやってこれたのに。
本当は寂しかったのに」
と、感情をぶちまける。

本当はお母さんも冷凍されていて、あと十年で起きる、
というオチなんだけど
まずこれで泣いた。普通に泣いた。


「アトムより」は、そのコント「アトム」を作った
作家の富樫君と、一緒に暮らしているノスのお話。という設定。

このねぇ。「アトムより」の空気がたまらなく爽やかなのに
何かせつなくて寂しいんだよ。

一緒に住んでいるらしい、富樫君とノス。
大マンモス展に行きたいとチケットを出して
だだをこねるノス。
富樫君はノスに「アトム」の台本を見せる。
ノスは「俺お前が書いた話の大ファンだ」という。
「お前の、非日常の中の日常が心地いいんだ」って。
二人で台本を読みあう。ビデオを撮る。
バッテリーが切れる。
「バッテリーまだあったかなぁ」と、富樫君。
「いいよ、もう恥ずかしいよ」と、ノス。
今度は写真を撮る。
これから一緒に散歩に行って、本屋に行って、写真とって…
そんなことをいいながら今日という日の計画をたてる。
近くのグランドでは社会人の野球チームが試合をしている。
ほんとうに何のことは無い、普通の日。

出かける前に、二人でベランダからそらを見上げる。
そらには、飛行機雲…
と思いきや、それは鉄腕アトムの作ったアトム雲。

この世界では、ロボットはほんとうにいる。
「アトム」では、『鉄腕アトムはいないよ』と言わせていたけど
富樫君は、空を飛ぶ鉄腕アトムのいる世界で生きている。


富樫君はノスに言う。
「お前も飛べるやつだったらよかったのにな」

ノスも、ロボット。

「いいなぁ、気持ちいいんだろうなぁ」

そんな富樫くんの言葉に、反応せず
固まって止まってしまう、ノス。

そんなノスを見て、
富樫君の、最後の最後の、ひとこと。

「バッテリー、まだあったかなぁ」



文字にすると何百分の一だって伝わらないかもしれないけど
こうして書いている今だって切なくて泣きそう。

何かね、ほのぼのしてていい終わり方かもしれんのだけど
すっごい切なかった。

この「ATOM」も、「アトム」も
最初から最後まで富樫君一人ぼっちだったんかもしれない、とか。
あんなに無邪気で「人間らしい」感情を持ったノスが
ロボットなのか、とか。
そう思ったら、富樫君がノスに向ける愛情が
暖かすぎて、だからこそ何か、切なかった。


「アトムより」の、「より」は。
From なのかな。
それとも、
Better than なのかな。
More thanかもしれないな。

あたしは Better than なんじゃないかと思う。
空飛ぶアトムは確かに正義の味方で素敵だけど
いつもそばにいてくれるノスのほうが
富樫君にとっては大切で
でもそれは、まぎれもなく「ロボット」なんだろうな。


非日常の中の日常を生きる。
富樫君にとっては当たり前のこと。

だけどあたしの日常にとってはとても切ない
あたたかい物語だった。
もちろんコントだから、面白いんだけど。



また観たい。生で。
DVDもVHSもいいけど。

VHSでひさしぶりに見て、泣いたよ。
何か、もうね。
あの愛情の質とかそういうのに泣いたよ。


よかった。
何か、こういうおだやかな。
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ラーメンズ
すんばらしいよな~。
ああいう風に頭をユーモアに使うのは幸せを生み出すよな。
ちゅう: 2007.02/11(Sun) 08:52 Edit
>ちゅーさん
当時高校生のあたしはあんまり意味も分からんかったはずなのに、
それでも何か感じて泣いちゃったんでしょーね。
ほんとにすごい。
同じ時代にああいうことやってる人がいるのが
すっごいしあわせです。
momo: 2007.02/11(Sun) 11:13 Edit
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