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つかいすてカメラ

フィクションの中の ノンフィクション。

2025'07.21.Mon
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2007'05.11.Fri
電話がかかってきた 携帯電話に 携帯電話から


以前書いた、あたしにメールをくれた友達から、だ


熱が出ていたけど 何だかとらないと取り返しがつかない気がして
まあそれは いつもそうなんだけど だから
電話を とった 
こちらからかけようと思っていたのにな、なんてどうでもいい後悔をしながら。


どうしたん、と言う前に その子は泣き出した。

「はやくつながれ、って思った」


そう言った。


めったに連絡もとらないし
あたしの友達は彼の存在を知らないし、
彼の友達もあたしの存在を知らないと思う。

友達っていうのは輪の中に存在するものがほとんどで
共通の知り合いなんてのはいっぱいいてしかるべきなんだけど
不思議と彼とあたしには それが無い。
だからって不自由したことはないし困ったことも思い当たらない。

多分、二人の世界で全てが完結してしまうから。
なんていうか、誰かに言ってもそれがなにかにならないんだ。
なんていうか、難しい感覚。言葉に出来ない。

だれにも足りないものを補い合ってるわけではないけど
お互いじゃないとだめなものはあるのかもしれない。
少なくともあたしはそうだ。


うんうん、とうなずくことしかできなかった。
あたしとは遠くかけ離れたセカイで今 戦っている彼のこと。
そしてそれは彼からあたしのセカイも 遠いっていうこと。


遠いからこそ いえること。
遠いとわかっているからこそ 言わないでいられること。


あたしに何かを言ってほしいんじゃない。
だれにもいらないことは言われたくないからあたしにこうして言うんだ。


黙って聴くしか出来ないから、あたしは。


心の世界が遠いんじゃなくて すんでいる世界が遠い
それは 一番楽なことなのかもしれない。


「卒業したら、どーすんの?」

落ち着いた彼が問いかける。そういえばこれからのセカイのことさえ話してなかったっけ。
ていうか、こうして声を聴いたのはいつぶりだっけ?


「わかんないかなぁ、まだ」


どこへ行くのかは、なんとなくしか
自分の意思で決められるとは言え、ある程度だ。



「そうなんだ」


余計なことは、言わない、言えない。


「うん、そっち行けたらいいけどな」


それは本音、でも ちょっと ちがう


あたしが行きたい場所は 、 あたしが行きたい ばしょ は?


「むりだよ」


おまえに暮らしていける場所じゃない、と笑う。


具合悪そうなのにごめんな、と彼は電話を切った。



…全部熱が見せた夢だったらいいのに。
涙声なんて 身を切るほど つらいなんて
口にするような人じゃなかったのに。


いつも 正解がわからないまま だ


つながりたくて 消えたくなくて?



あたしはどうしたらよかったのかな。


また 落ちる 眠りの なかへ。
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