はじまりはいつも、

また泣き明かして疲れて眠りについた、今朝。
しゅがーれすがーるのイントロで　目を覚ます。


ディスプレイには調子のいいあの人の名前。
だけどあたしはこの人のおかげで
学生生活を諦めずにすんだのだ。
たまに忘れかけるけど忘れちゃいけないし
多分忘れない。どっちだ。


とりあえず　本気で寝てて　とれなくて
すぐかけなおしたけど　出てくれなくて
その後すぐまた　かけなおしてくれて　ようやっと繋がった。



あたしは相変わらず　誰かと繋がるのがへたくそだ。

調子のいい関西弁と　調子のいいお誘い。

すきだなぁ、と思う。相変わらずだ、と。


だけどごめん、いけない。
そう伝えると彼は22日のことを切り出した。


「ごめんね、いけないんだ」

それは嘘じゃない。
あたしはその日港町にて　才能の塊に遭遇する予定だ。


「夜中でもええんやで？」


あいつも遅くないと無理やってゆうてたし、と告げる。
確かに夜遅くなってもいいなら別にいける、けど


「ん、やめとくよ、ごめん」


会いたくないんじゃない
会いたい。

けど　もう　目の前で　困らせたくない
泣きたくない。
よく知らんひともおるし。


「ほな、別の日にまたしよか」


笑ってそう言ってくれた。


そうしてもらえると非常に助かる。


またね、と　電話を切った。
多分このまたね、は　実現される「またね」だ。
寝ぼけていたけどそれは分かる。
今までの経験から　分かる。
彼は適当だけど　約束は守ってくれるし
実行力も人並みはずれている。


…また　寂しくなる
ベッドのなかで　ひとり。


電話の途中に泣いていれば
なぐさめてくれたかなぁ、なんてずるいことを考える。


ううん。きっと笑われるだけだ。


笑われればまだ　いい。


またこうして探すんだ
そしてきっと



見つからない、見つからないって
泣くんだ。



あの子から来たあったかいメール
かたことの英語


やめたほうがいいよ、と感じるこの先
もう　見えないし　わかんない


愛だ　恋だ　って　なんですか？



いっぱい泣いて　いっぱい傷ついて　いっぱい怒って
その先に　何があったのかな。
何が　変わったのかな。


分からなくなった
何一つ　後悔なんかしちゃいないのに


やっぱり　前を向くには　目的が必要だ
見失ったらまた　後ろに戻ってしまう
振り返ってしまう


だめだ。



離れたくないし　なくしたくないし



なくなって　しまうし。



「see you later！」


カタカナで　シーユーレイター。


こんなふうに気軽に言えたらいい

どうしよう　伝えたいことがいっぱいあるのに
何一つ言葉に　なっちゃくれない



本音も　これからも　
見えて欲しいものが　どうしても見えない。



ほんとうに　つながる　のが　へたくそだ。