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つかいすてカメラ

フィクションの中の ノンフィクション。

2025'07.20.Sun
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2007'03.11.Sun
と、言われたことがありますか?


とりあえず、要点だけかいつまめば

大丈夫だよ、大丈夫、もう安心していいんだよ、
っていう言葉が無いと
全然終わった気がしないんだなということ
テンパったらちゃんと説明も出来ないんだなということ

甘えるなと 言うなら
あたしに男と同じくらいの力と体力をください、ということ

とにかく こわくて こわくて
仕方が無かったんだ という こと。


「すいません」
と 声をかけられて
立ち止まったのが 終わり だった


「一緒に死んでくれませんか」
一瞬理解できませんでした。

ふつうの顔をして ふつうの声で 
その男は そう言った。
見たことも無い ひとだった。


変な人に絡まれたり、ガラの悪いナンパもどきだったり、
ちょっとおかしな人に話しかけられたりは
よくあることし 何とかなってきたけど、
その人は ちょっと ちがった。


「一緒に、死んでくれませんか」
理解できずに黙っていたらもう一度同じ事を言った

そう言っている間 あたしは癖で
まっすぐその人の目を のぞきこんでいた。
理解できないことを言っている人のことは
目を見て 推し量ろうとする あたしの癖だ。


背筋が凍る、って よく使われるけど
だめだ
鳥肌が立つ。
このひと、本気だ。


「あなたとだったら ちゃんと死ねる気がする んです」


迷いも無くそう言った
むしろすこし笑いながら そう言った。

怖い怖い怖い!
頭の中で 逃げなくちゃ、って 声が聞こえるけど
聞こえたけど 体はそれにまったくしたがっては くれなかった。


固まって 声が声にならないでいるあたしの 右腕を
その男は つかんだ。


あたしは息を呑んで 反射的に 振り払おうと した
けど
できなかった。
動かなかったんだ その人の 手。

力が 足りない。
びっくりした 覚悟を決めた人間だからなのか
単純に男の人だからなのかは 分からないけど。


その瞬間 急に 震えがきた。


その男は なおも 続けた
「たすけてください、助けてほしいんです」って。


腕に篭る力が つよくなった気がした。
もしかして あたしほんとに 死ぬのかなぁ
って ちょっと思った。
諦めそうになっていた。

そしたら
尋常じゃない雰囲気を感じ取ってくれたのか
コンビニから店員さんが出てきてくれた。


男は どもりながら 納得いかない顔をして
あたしがこれから向かうべき方向へ 消えた。


「だいじょうぶでしたか?」
店員の男の人は やさしく聞いてくれた。
「だいじょうぶです、ありがとう」と
反射的に答えて とりあえず 
すぐ先のもう一つのコンビニまで
とりあえず 自転車をこいだ


けど。
この先に向かった さっきの男の存在を考えると
どうしても どうしても 動けなかった。
足は震えっぱなしだし 手も 体も。
頭が一番震えていたかもしれない。
何にも考えられなかった どうしたらいいのかも。
寒かったし 怖かった。


とにかく 用事 も あるし
連絡しなくちゃ ということだけでいっぱいで
自分のことを 伝えることしか できなかった。
周りの事なんか 考えられなくて
何を言われても 何を聞かれても こたえられなくて
どうしようも なかったと 今になれば思う。

助けて と 言うことも 出来ないんだなぁ
って ちょっと さみしくなった。


めんどくさーオンナノコって。
自分で自分の身を守ることも できなくて
何か こういうことがあると
自分が悪いんだろうな って 思ってしまう
助けてって言えない自分を見てると
そして めんどくさそうな顔を 見ると
そう 思うよ。


ひとりで泣くこと 震える手に力をこめること
それくらいしか できなかった。
気がつけば右の手のひらには つめが食い込んで
血がにじんでた。

それさえ 「大丈夫だよ」 って
いってほしかったのかな。
誰にも かばってもらえなくて ただ
つらかっただけ なのかなぁ。


大丈夫だよ、安心して、 と 言わせなかったのは
あたしだけど。
大丈夫?っていう問いかけは ちょっと 残酷だ。



大丈夫だよ。
だいじょうぶ
たいしたことじゃ ない。


でも大丈夫ってどういうことなんだろね。


数時間たてば だいぶ おさまった。
だけどまだ 言葉には できなくて。

そして男は あれからどうしたんだろう と思った。
また 誰かに助けを求めたんだろうか
何から逃げたかったんだろうか
あるいは 頭のおかしい風を装っていただけで
ただの 変態だったんだろうか。
同情なんてしないけど。


誰かと一緒に死ぬことが
誰かの救いになんて なるはずないもの。
傷つくばかりだよ 傷が増えるばかりだよ。


言ったってきかないだろうけど。


今 やっと 思い出しても大丈夫になった
言葉にもこうして することが出来た。
涙は まだ 止まんないけど 何の涙かは 知らない。
さっきお風呂入ったらまた止まらなくなった。


外が明るいから 平気なんだろう。
夜になればまだ きっと イヤだなぁ と思うだろう
時間がたてば 時間が。



放り投げられた感覚で 夜の中に飲み込まれると
恐怖感だけが浮き彫りになってきた。

ひとりな 気分。
なのにいらない誰かの顔ばかり思い浮かんで
恐怖感の中。


ひとりなんて 夜なんて だいきらい。


もう 夜は 当分出歩きたくない
けど
これから先の予定を考えてみれば
それは無理な話 だし
甘えるな、って話 だ。
家族に伝えれば もう 辞めろといわれるに決まってるし
言えない
なら 引き換えにあたしは 覚悟するしかない。

誰かを巻き込みながらまで 自分のしたいことを
突き通そうとは 思えない。


だいじょうぶ だよ だいじょうぶ。
自分で 自分に 言い聞かせるしか 無い。


ほんとうは 本音は 多分 あさましく
口に出すことを はばかられる


そんなことは どうでもいい。


心が こわれないように
誰かに せめて救ってもらえるだけの
自分では ありたいと思う。
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