待ってるひとがいる。

の、かな？
分からない。知らないけどね。

今日出会ったり言葉を交わしたりした人の顔を
ひとりずつ　思い出してみる。
会話の内容を少しずつ　思い出してみる。


これだって立派な「思い出」だ。
今日はそんなささいな思い出がたくさんできた。

少しずつでも　覚えていたい。
すべてなくなるまで　覚えていたい。

おはよう、いってきます。
毎日繰り返される、あいさつ。

駅でばったりであった友達。
電車の中で道中おしゃべり。
学祭の話や人間の話。
26ぷんのかいわ。

知らない人たちと仕事のお話。
2時間の間、何本も交わしたかいわ。

友達の電話のコールバック。
3ふんたらずのかいわ。

学校に行く。
三人と自転車ですれ違う。
何気ないあいさつ。

本館にて、後輩に出くわす。
顔を合わせただけで思い出す会話に笑う。
先輩とも出会う。実験について。
どちらも一瞬のかいわ。

ごはんを食べる間は静かだった。

自転車で学館へ向かう。
途中、同級生と出くわす。
ほんと毎日会う。
一瞬のあいさつ。

あまり親しくしたこともない後輩がふたり。
あたしなんかが話しかけたばかりに寒い中足止め。
だけどありがとう
2ふんたらずのかいわ。


たまたま方向が同じになった笑顔のやさしいひと。
なんて偶然、と思いながら少し言葉をかわし
「バイトがんばって！」「ばいばい！」ちりりん。
1ぷんたらずのかいわ。


そんなに先のことを話してもなぁ、と思いながら
ちょっと決めかねていたことを詳しいと思った人に電話してみる。
ふざけた声で出てくれた声はあまりに優しくて、
相変わらずの元気な声ではきはきと答えてくれて、
それはあたしにあまりに足りないもので
うらやましくもあり心地よくも悪くもある。
派生して別の話にもなり「こうしたいんよね」から
一瞬だけ「あのころも楽しかったね」みたいな話になって
「じゃあまた連絡させてもらうわ」でばいばい。
10ぷんたらずのかいわ。


久しぶりのだいすきすぎる友達に会う。
語りつくせない。
6時間強のこころの通い合い。


ただいま。
おやすみ。


こんなに大切なものばかりの一日だと言うのに
どうして足りないの？


もっともっと大切にしていたものがあった気がして
もっともっとだいじに思えていたものがあった気がして
物足りなくなってしまった。ばちあたり！


祈るようなメーデー。
誰に向かっているのか。
届いているのか。
どこかに　だれかに。


少しずつ　こうやって毎日をわすれていく。
せめて　あたしは記していたい。


少しずつ　終わりに向かう　流れの中で
あたしは　せめて　せめて。


大切に思えなくなったとしても
「大切に思ったことがある」という事実は
なくしたくはない、と思っている。


足りないものは　足りない者は　？


明日はまた　風の強い日かもしれない
暖かい日になるかもしれない


なのにきっと　見当たらない
何も　みつかんない


かもしれない。